ロハスな秋谷生活

三浦半島、秋谷の地、豊かな相模湾に抱かれ、豊穣な大地の恵みに感謝し、地元の美味しい食材、日々の花々の移ろいなど ロハスな生活情報をお届けします

裸足で歩く

なぜか靴をはいていない

裸足で目的地まで歩く

そこは長い長い歩道橋

高架の線路を右手に

同じような高さに並ぶ

狭く危なっかしい狭い道

なぜ裸足なのか

どこで靴を脱いだのか

思い出そうとすると

笑い顔の知らない人たちが

歩道橋が崩れないうちに

早く渡らないと危ないよと

手招きしているように感じる

なにしろこの歩道橋は万里の長城のように

一万キロメートルを目指してつくられたと

そんな錯覚におちいるほど長いのだ

人は人を靴で判断する

手入れの行き届いた皮靴で

きちんとしたスーツを身につけて

アタッシュケーズなど手に提げると

いっぱしのリーマンに見えるだろうか

それが裸足にサンダルさえはかず

真っ黒な足裏にガムの滓をつけたまま

ただひたすら猫背で歩いてゆく

これはただの浮浪者か世捨て人か

社会からはみだした破落戸か

ただだれでもない名無しの権兵衛か

みごとに人から無視をされ

だれにも振り向かれないまま

歩道橋の先は海だろうか

それとも墓場だろうか

それとも遊園地だろうか

それとも飯場だろうか

それとも漁船だろうか

それとも遊郭だろうか

それとも監獄だろうか

それとも病院だろうか

どちらにしろきわどい刹那に

歩道橋は時々ゆらゆらと揺らぎながら

不安定な目的地にいざなってゆくのだ